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認知につい VOL.2

​ここでは「認知症」についての情報や役立つ情報を発信していきます

​​認知症の症状、「物忘れ」とは?

​認知症の方は様々な症状が出現します。その中でも初期の段階から目立つ症状「物忘れ」について触れてみます。

記憶障害

 認知症の方の一番目立つ​症状と言えば記憶障害かと思います。いわゆる「物忘れ」です。しかしこの記憶障害は一口に言っても色々な分類があります。そもそも「記憶」とはなんでしょう?

 

記憶のメカニズム

私たちが「記憶」と呼ぶものには4つのメカニズムがあると言われています。

第1段階:記銘 ・・・ 視覚的、聴覚的、身体的など様々な体験を通じて覚えこむ事

第2段階:保持 ・・・ 保ち続ける事、一度、記銘した事が潜在的に残っている事

第3段階:想起 ・・・ 以前に、過去に体験した事、覚えたことを思い出す事

第4段階:忘却 ・・・ 記憶した事を忘れる事。記憶のメカニズムに関して軽微な忘却は脳機能に対し有用であるとの研究発表もある

​記憶障害の分類

記憶のメカニズムについてお話をしましたが、次は記憶障害の分類についてお話します。記憶障害もいくつかの種類によって分類する事ができます。

☆時間的内容の記憶障害

○短期記憶障害 ・・・ いわゆる記憶の中の「記銘」が苦手になる症状です。認知症の方の特徴として海馬萎縮によりこの記銘力が低下する事で「覚える」事が苦手になります。今あった事や言った事を「忘れている」のではなく、そもそも覚える事が苦手になるのです。ただ、これは健常な方でも高齢になると見られる症状です。

○長期記憶障害 ・・・ 比較的、長い時間(数時間~数か月)経った記憶です。認知症の方になるとこれを起する(思い出す)のが苦手になります。

☆記憶の内容での記憶障害

○エピソード記憶 ・・・自分が体験した事や印象に残った出来事のみならずその時の感情なども一緒に記憶れます。

〇手続き記憶 ・・・・・体験や複数回の経験などを通じて獲得した記憶で例えば「自転車に乗れるようになる」や「平泳ぎを覚える」等一旦覚えてしまうと意識をしなくても再現できる記憶。

 

○意味記憶 ・・・・・ 知識や規則、法則等、いつ覚えたのか分からないが物事の意味をあらわす等の記憶

例えば「1600年関ヶ原の戦いで徳川家康が勝った」等言葉や出来事に不随して覚る一連の記憶

 

認知症の方の「物忘れ(記憶障害)」

 記憶障害の分類は上記のようになりますが、実際に認知症の方の初期症状で記憶障害がある場合どのような形で現れるのでしょう?

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覚えられない ・・・  最初は些細な事、どうでも良いこと等は覚えられなくなります。これは誰でもそうですね。少し進むと「今、言った事、言われた事」「時間や日付」を覚える事が苦手になります。ですから「今、言った事を忘れた」ではなく「今、言われた事を覚られない」のが認知症の症状です。

 さて、そこで人がする行動となると「覚えてない事を悟られないようにする」れって知的な事ですよね。例えば、「今日は何月何日ですか?」と聞かれると覚えていない事を隠すために色事を考えます「最近は新聞も見ないから気にしていない」や近くにいる人に「今日は何日か聞いてるよ」や場合によっては「そんな事、聞いてなんになる」と怒ったり・・・。これが「取り繕い」や「振り返り」という症状で、明らかな認知症の方でなくとも高齢になればなるだけ現れやすい症状でもあります。おじいちゃん、おばあちゃんの家に新しいテレビやエアコン洗濯機等、が来た時を思い出してください。「テレビのつけ方が分からんがよ。」「洗濯の仕方が分からない」等何度教えても覚えていない事も多いかと思います。早期認知症の方も同じです。

思い出せない ・・・ もう少し認知症の症状が進むと今度は長期記憶が思い出せなくなることもあり特に計画を立てて行う事や複雑な動作などは苦手になります。例えば「味噌汁を作が野菜は丸ごと入っていた。」や「買い物に行ったが同じものを何回も買ってくる。」等。これは一連の動作の中で「野菜を小さく切る」という手順を忘れてしまっています。このことによって「味噌汁は作れない」と判断されがちです。しかし、よく考えると「野菜を小さく切る事を手伝えば味噌汁は作れる」のです。

 

 

 

 

 

ま と め

 このように「物忘れ」も様々な要素が組み合わされて出現する症状です。上記に書いたように認知症の方のみならず「物忘れ=覚えられない」と言うのは高齢になればなるほど、出現しやすい症状です。初期の段階では「取り繕い」や「振り返り動作」等もよく見られます。もちろん、それだけで認知症と言うには少々、危険ではありますが「生活に支障のでる程の症状」であれば早めに専門病院を受診する必要もあるのかもですね。

認知症の方への接し方について
 認知症を患った方への接し方・・・。これは一概には言えない事が多いのですが・・・。なぜ?「認知症」には色んな原因で起こる症状であり認知症症状があるからとすべてが同じ対応ではないからです。今回は一般的に言われる認知症「アルツハイマー型認知症」を基にしたいと思います。
 
 
認知症状を持つ方への接し方とは
医療・介護の世界で認知症状を持つ方への接し方とは教科書通りにいけば・・・
●余裕をもって対応する・・・ 介護者が焦せったり困惑の表情を見せると認知症状の方にも伝わって動揺させてしまいます。自 然な笑顔で応じましょう。
● 声をかけるときは 1 人で 。複数で取り囲むと恐怖心をあおりやすいので、できるだけ 1 人で声をかけます。
● 後ろから声をかけない 一定の距離で相手の視野に入ったところで声をかけます。唐突な声かけは禁物。
● 相手に目線を合わせて優しい口調で 目線を同じ高さにして対応します
● 穏やかに、はっきりした滑舌で 。早口、 大声、甲高い声でまくしたてないこと。
● 相手の言葉に耳を傾ける 認知症の方は急かされるのが苦手です。同時に複数の問に答えることも苦手です。相手の反応を伺いながら会話をしましょう。たどたどしい言葉でも、相手の言葉を ゆっくり聴き、何をしたいかを相手の言葉を使って推測・確認していく。
● 叱ったり、否定しない 認知症になっても感情は保たれており、叱られたり、否定されたりすると混乱してしいます。相手の感情を受け入れて対応することが大切です。
 
と、こんなところでしょうか?確かに一般的に言われている事です。しかし、よく考えてください。例えば「後ろから声をかけない」・・・。そりゃ、誰でも後ろから声をかけられればビックリします。混乱します。「声をかける時は一人で。複数で声をかけない」そりゃ、誰だって複数の人から囲まれて声をかけられたらびっくりして竦んでしまいます。「穏やかにはっきりした口調で。早口、大声、甲高い声でまくしたてない。」そりゃ、だれだって・・・・。こうしてみてみると認知症状を持つ方だけに当てはまる事ではないんですよねぇ・・・。普通に誰でもに当てはまる事ですよね。
 
 
家族の方の接し方とは
私はケアマネージャーという立場上、認知症状を患った家族の方とよく話をします。その家族の方々の多くは「わかっているけど・・・。つい怒ってしまう。」「忙しい時に何度も同じことを言われると嫌になる。」「何度も教えたのに同じ間違いをして・・・・。」等の言葉がよく聞かれます。家族の苦慮する所です。教科書通りにいかないのが現状です。そこには、介護スタッフ=客観的、家族=心情的な作用が働くからだと思います。認知症を患った方の家族の気持ちの移り変わりと言われるのがこちら↓
 
 『ショック・戸惑い』   『怒り・否認・抑うつ』  『割り切り・あきらめ』  『理解と受容』
 
はたしてその通りなんでしょうか?先日、あるクリニックで行われた地域向けの勉強会で認知症を患った方を持つ家族の方の話を聞く事が出来ました。以下のような内容でした。
1.初めはド忘れ程度に思っていた。自分も日々の生活の中で気に留めていなかった。
2.なんか、物忘れ等が目立つようになってきた。少しおかしいなぁと思っていたが「まさか、うちの父、あるいは母が認知症・・・?」
3.決定的な事(自宅が分からない等)の症状があり専門病院を受診し「認知症の診断を受ける」
4.認知症と診断されると焦燥感と不安を感じた。
5.認知症と診断されたことでご本人との生活に変化が生じ日常生活の中で出来ない事へ目が行くと同時にご自分もイライラし始め自分の生活リズムも壊れ生活が認知症を患ったご本人中心のとなる。 
6.自分の生活もあるので認知症を患ったご本人の生活を自分の生活に合わせようとする事で認知症の方の生活リズムとのズレが生じ息詰まる。
7.認知症のご本人のすべてを受け入れようとするがうまく行かない事で絶望感を感じる。
8.紆余曲折があり何とか、認知症の方の生活に自分が合わせその中でご本人との生活を構築していく。この頃から気持ち的に少し楽になる。
とこのような感じでした。なるほど、確かに上に書いてあるプロセスを通っているようでした。
 
 
家族の心情としては・・・
医療・介護スタッフと家族の決定的な違いがあります。それは
  
 『家族は認知症を患う前のご本人を知っていて少しずつ変化する自分の家族を見ていく』
という事です。これってすごく厳しい現実ですよね・・・・。最初は「あれ?でもまさかね・・・。」と思っていたものが現実になり、やがて自分の生活も介護に追われる。その中で「今まで出来てたのに何で出来ないの?」「時間がないから早く!」等怒りたくなるのも当たり前だと思います。上記のプロセスを通るのもわかります。医療・介護で携わる方は上記のプロセスを飛ばして「理解と受容」から接しています。つまり最初から認知症の●●さんとして受け止めているのです。ですから大抵の事は受け入れて介護を実践できます。
 
 
簡単には言えない・・・
 私は家族からの相談を受ける時、「つい怒ってしまうんです・・・。頭ではわかってるんですが・・・。駄目ですよね・・・。」と反省?をされる家族がいらっしゃいます。そんな時、私は「僕は怒るのがダメだとは思わないです。親子喧嘩(家族喧嘩)が出来るのは、怒れるのは家族の特権です。認知症の方のすべてを受け入れろと言うのは無理だと思います。認知症の方に喜怒哀楽があるように介護する側にも喜怒哀楽があるのですから。ただ、その”つい”をどのようにコントロールするかが問題じゃないですか?」と・・・。私は簡単に「否定するな。すべてを受け入れて。」とは言えないです・・・。
 
 
介護者が出来る事とは・・・
 認知症を患った方が完治する事は現代の医学では残念ながら出来ません。しかし、その家族は接し方や気の持ちようを変える事はできます。工夫ですね。前記した「家族の気持ちの移り変わりの最後は「理解と受容」となっていますがホントにすべての方が理解し受容しているかは疑問だと思いますし、「ショック・戸惑い」~「理解・受容」を行ったり来たりするのが現実だと思います。その中で介護者が出来る事とは・・・。これも、前記の勉強会でのお話を参考に私なりに表現すると・・・
 
1.自分が変わる(変われるのは自分だけ)
2.自分なりの我慢ルールを作る (同じことを言われてもニコニコ笑顔で答えるのは3回まで。そのあとは話を変える。その場を離れるなどの工夫を)
3.つい怒ってしまう事を反省?しない(つい怒ってしまう事は誰でもありますし、家族だから言える事も有ります。介護する側も生活があり喜怒哀楽があります。介護する事が自己犠牲になる必要はないと思います)
4.自分の中に選択肢をいくつか準備する(問いかけや行動に対していくつかの答えや予測を予め予想していれば想定内ですむのでは)
 
等でしょうか?もちろん、これ以外にもたくさんあると思います。
介護職が出来る事とは・・・
 介護スタッフは前記のように「認知症の●●さん」として接するのである程度の対応はできるでしょう。専門職の腕の見せ所でもあります。それでは、対応に苦慮するケースとは・・・?
1.暴言・暴行  2.徘徊  3.異食   等
3は重度の認知症の方に見られる事も多いです。ただ、1、2は軽度~中度の方でも見られます。それでは介護スタッフに必要な事とは・・・。
その人を知る」事です。認知症の●●さんではなく、その方がどのような生活をしてきてどのような仕事をしていたか?好きな事は何か?嫌いな事は?等々その方の「」を知る事で徘徊をする理由や暴言・暴行を働く理由が見えてくるのだと思います。
ま と め
​ 認知症の方への接し方はその人を知る事で認知症を患った方への対応も変わってきます。介護する側はその方の人となりを受け止め「認知症」としてみるのではなく「その人」を見る事が大事ではないかと思います。その為に家族が持つ情報、介護スタッフが持つ認知症の知識や技術を共有し認知症を患った方が普通に生活できる環境を作ってあげる事が大事ではないでしょうか。技術としては「ユマニチュード」や「バリデーション」「パーソンセンタードケア」等々様々な療法がありますので色々試してみるのもいいかもです。ただ、全ての方に一つの方法が当てはまらないという事も頭の片隅に置きながら「その人」にあった療法を実践しましょう。
 

​アルツハイマー型認知症って40代から始まってる?

​ アルツハイマー型認知症の原因はβ(ベータ)アミロイドやタウと呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積したり、過剰なリン酸化を起こしたりすることで、海馬の委縮や神経伝達組織の機能が低下すると考えられています。実はこれ、高齢になってから頭に溜まっているのではなく発症する15~20年前から徐々に頭に溜まっていっているそうです・・・。

​怖い気もしますが・・・・・。早期に認知症予防を行うには
生活習慣病の予防が効果的とも言われます
 
https://info.ninchisho.net/prevent/p30
↑のサイトでは認知症と生活習慣病の関係について詳しく解説していますのでご覧ください
また、生活習慣を改善する事で認知症はもちろん、脳卒中や心臓病などの予防にもなるそうです。では、どのような生活習慣を送る事がだいじなのでしょうか?いくつかの文献や情報を拾ってみると
1、バランスの良い食事
https://ansinkaigo.jp/knowledge/2838
​こちらではMIND食と呼ばれる認知症予防に効果的な食事のとり方が解説されています
2、適度な運動
1日30分以上の散歩や有酸素運動などを行うと効果的と言われます。1回10分程の散歩を3回に分けて行っても良いようです。更に前頭葉機能を効果的に働かせるために散歩しながら「しりとり」や「計算問題」をするといいようです
3、十分な睡眠をとる
​人は寝ている間脳内で「メラトニン」という物質を放出します。メラトニンは老化防止作用やリラックス効果を得られる物質です。このメラトニンは同じ脳内の神経伝達物質の「セロトニン」を材料として出来ています。このセロトニンは興奮を抑えたり気持ちのバランスを整える役割やドーパミンと呼ばれるパーキンソン病やレビー小体型認知症の原因とも言われる物質の過剰分泌を抑えたりします。別名を「幸せホルモン」とも言われ気持ちの安定や心地よい気持ちにさせてくれます。このセロトニンが少なくなるとメラトニンも少なくなります。そうすると睡眠不足を引き起こします。セロトニンを増やすには「日光を浴びる」「大豆や乳製品、バナナなどの食物」「リズム運動(体を揺らす)」等が効果的だそうです。
 
 
 
 
4、趣味を持ち、人に会う
​認知症の方は「意欲が低下する」「面倒くさがる」等がよく見られ身なりを気にしなかったり閉じこもりがちになったりすることがあります。アルツハイマー型認知症でよく見られる前頭葉の萎縮はこれに起因します。前頭葉は「思考」「意思決定」「人とのコミュニケーション」「感情の抑制」「注意の分散」「記憶のコントロール」「意欲を出す」などの働きがあると言われます。趣味を持ち人と会う事は「身なりに気を付ける」「人との対話やコミュニケーションを図る」「意欲の向上」等につながり前頭葉の活性化を図ると言われます。
​この他にも「禁煙」や「大量の飲酒を辞める」等も生活習慣病の予防につながると言われます。生活習慣病を予防する事で同時に認知症予防もしていきたいものですね。

​認知症の種類について

​ 一口に認知症と言っても様々な症状や病気があります。​脳に直接的なダメージを負って認知症状が出現するもの、別の病気によって付随的に認知症状が出現するもの等まで入れると100近くあるともい言われます。今回は高齢者に多くみられる認知症、認知症状をいくつかご紹介します。

​・アルツハイマー病

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