先日、日本早期認知症学会の学会誌 2018Vol.11 No.1号に以前、同学会で発表した症例報告の査読が終了し無事に学会誌に掲載をして頂く事ができました。今回、このような機会を頂いた事で広くお伝えしたかったのが、介護スタッフ、介護支援専門員が認知症に対しどれだけの知識を持ち、より細かな情報を主治医にお渡しできるかで、主治医の診断も変わってくると言う事である。日々の生活を見ているご家族、介護スタッフ、介護支援専門員が受診の際にしかお会いしない患者様の情報をどれだけ詳細に医師にお伝えし、早期診断、早期治療に結び付けていくかと言う事である。
今回の掲載論文には私が普段から利用している「認知症特化型アセスメントシート」と「認知症類型別特徴シート」を掲載していただいている。これを元にある程度の認知症の症状にあたりを付け、症状に合った認知症の類型の説明をご家族に行う。また、医師に対してもこのシートを元に普段の生活の様子、受診の目的などをレポートにまとめて提出するようにしている。この作業をする事によって患者様の現状が単に認知症によるものだけでない場合にも役立つ。認知症の方と面談をする際は、まず特徴的な認知症(ATD、DLB、FTLD、VD)を置いておいて他の疾患からの認知症状ではないか?と疑う。その後、消去法+アセスメントシートに頼り認知症のあたりをつけていくようにしている。その方が「改善の期待できる認知症状」であった場合に良くなる可能性があるからである。
認知症の診断を付けるのは医師であるが、認知症の症状や生活を見るのは介護者である。医師と介護者を正しい情報でつなぐ役割で作り出したのが今回のアセスメントシートである。その為、今回このアセスメントシートを公開し広くお使い頂く事で介護スタッフの手助けになればと思いアセスメントシートをPDFファイルで公開する事にしました。既に皆様から多数のお問い合わせを頂き、お渡ししている方もいらっしゃるのですがこれを機にどんどん使って頂き、認知症の症状で困っているご家族や介護スタッフが早期診断、早期治療に繋がるよう願っております。
*今回の論文掲載にあたりご協力を賜りました医療法人慈風会 厚地脳神経外科病院 理事長 厚地 正道先生にこの場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
実際のファイルは下記よりダウンロードください。