難しい・・。若年性認知症の方と家族の支援

June 21, 2018

|髙橋 和孝

最近、担当する事が多い若年性認知症の方の支援について考えてみました。

 

 

 

 

若年性認知症とは

・若年性認知症・・・若年性認知症とは、従来から言われてきた40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称です。 若年性認知症という独立した病気があるわけでなく、発症年齢で区分した概念であるため、認知症を引き起こしている原因はさまざまで病理学的にもいろいろな疾患を含んでいます。

                                 出典:若年性認知症 | 健康長寿ネット - 公益財団法人 長寿科学振興財団

 

 最近、担当する中でこの若年性認知症の方の割合が増えてきた。数字で示すと担当件数45件中9人程が何らかの認知症を発症している。約2割になる。年齢も50代~70代となる。全国的にも増えつつある若年性認知症であるが介護をする家族もまた若年の方が多い。

若年性認知症の原因疾患

 若年性認知症を呈する原因疾患はさまざまであるが多い順に並べると

  1、脳血管性認知症(39.8%)

  2、アルツハイマー病(25.4%)

  3、頭部外傷後遺症(7.7%)

  4、前頭側頭葉変性症(3.7%)

  5、アルコール性認知症(3.5%)

  6、レビー小体型認知症(3.0%) 

                                      出典:若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」の調査結果/厚労省報道発表2009年3月

                                                           http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0319-2.html

頭部外傷や脳血管性認知症を除く変性疾患で見るとアルツハイマー型認知症についで前頭側頭葉型認知症、レビー小体型認知症となる

 

担当してみて分かった事

 

私が若年性認知症の方を担当して分かった事は発症年齢が若ければ若いほど前頭側頭型認知症の方が多いと言う事。

前頭側頭葉型認知症(FTD)

  概ね、 意味性認知症、進行性非流暢性失語、前頭側頭型認知症(ピック型)を前頭側頭葉変性症(FTLD)と呼ぶ。

 

詳しい説明は省くとして、感情の抑制、言葉にまつわる障害、記憶障害などが多い。良く見られる物として突然スイッチが入ったように怒る、同じ行動を繰り返す、言葉のオウム返しや言葉の意味を理解できない、言葉が出ない等である。特に感情の抑制が効かない、常同行動などは行動に現れる症状でもあるので注意と対応が慎重になる。

 

家族の介護への負担と不安

若年性認知症の場合、本人も若年であるがその家族もまた若い。当人の妻や夫、子供さん更にはお孫さんが主介護者と言う事もある。当然、日中は仕事をしている方がほとんどである。しかもフルタイムで働いている方も多い。中には介護の為に仕事を辞めざるを得なかったという方もいる。認知症を患ったご本人とそのご家族の苦悩も支援する必要がある。

 

ご本人に工夫できる事

ご本人の支援を考える時に始めに悩むのが年齢である。40歳以上で認知症の診断があれば第2号被保険者として介護保険の利用も出来る。しかし、若年世代の方は高齢者が多数を占める介護保険サービスを受ける事に抵抗がある方も多い。「あんな高齢者ばかりの所はいや」と言うのが大半である。通所介護や通所リハビリなどはうまく導入出来ない事も多い。若年性認知症の方は身体が元気な方も多い。その際はこんな工夫を行う。

☆1日型のデイサービスを利用したがらない方も多い為、体を動かす目的で短時間型のリハビリ特化型通所介護の利用を促す。

・メリット・・短時間なので1日我慢するストレスがない。 リハビリに特化している為、ジム感覚で利用できる。体力や筋力の維持が図れる。定期的に通いを利用する事で家族の休息にもなり将来的に1日型通所介護につなげやすい。 

・デメリット・・入浴や食事サービスがない為、自宅での負担が増える。運動嫌いな方は気乗りしない、運動制限などのある方は利用が難しい。

 

☆通所介護や認知症対応型通所介護の利用をする際は、利用者としてではなく高齢者のお手伝い的な役割を持っていただくオーダーをだす。

・メリット・・利用者は高齢者が多い為、そこに交わるのではなくスタッフ側として出来る事を行う事でADL維持、IADL維持に繋がる。特に軽度~中等度の方は指示や助言で一連の動作が出来る事が多い為、自宅でも継続できるアドバイスを家族にしやすい。

・デメリット・・言葉の障害などが出てくると理解力などに欠け間違いなどが多くなりご本人の自信を喪失させることに繋がりかねない。

 

☆障害者福祉と併用し就労支援サービスを進める。幸い、若年で精神障害の手帳を持っていれば障害サービスも併用できる。(介護保険が優先だが)障害者福祉サービスでの就労支援サービスを利用する事も視野に入れて支援を行う。

・メリット・・比較的、若い方も多いので若年性の方でも溶け込める。また作ったもの等を実際に販売する事で就労の喜び、やりがいを感じる事ができる。

・デメリット・・様々な障害の方がいらっしゃる為、一人一人の支援が必要な場合がある。多くの所では送迎がない事も多い。また、自宅での工夫もご本人の出来ない事に着目するのではなく「どうすれば出来るのか?」を考えてご家族と一緒に工夫をしていく。

 

ご家族に行う工夫

☆介護をされる家族はフルタイムで働いている方も多く、また子育て世代の方もいらっしゃる。その為、訪問なども工夫が必要でありご家族に合わせて18時以降に訪問する事も頻回になる。また、訪問した際も長時間ご家族の話を聞く事も難しく、その際はmailやSNSを有効活用し仕事の合間や夜間などでも連絡が取れる状態にしている。

・メリット・・ご家族が比較的若い場合はSNSや特にLINEは手軽に連絡も出来、ほぼリアルタイムで回答が出来る事も多い。また、仕事の合間に悩みや聞きたい事を聞く事ができこちらも重宝する。

・デメリット・・顔の見えない所で情報交換や助言等を行う為、相手の真意がわかりずらい事がある。高齢なご家族ではほぼ使えない事も有る。

 

☆認知症を患った方が若年の場合、それまで働いていたとすれば収入も減ってくる可能性もある。その際もご家族に各種制度や助成を紹介し代行で手続きをおこなったりする。

・メリット・・障害者自立支援医療の通院医療(精神)や障害年金の活用、難病疾患の指定*¹、また各市町村での障害者福祉による制度の利用などを紹介する事で経済的な軽減などを図る。

・デメリット・・障害者自立支援法のサービスを併用する際は障害者支援事業所の相談支援専門員が担当となる為、介護保険のケアマネと窓口が二つになる。

 

その他の工夫

若年性認知症に限らず「帰宅困難」*²になる方も多い。その際はGPS付きの携帯や様々な位置確認機器の紹介を行う事も有る。

☆仕事中に自宅様子が心配な方には赤ちゃんモニターなどのカメラの設置で自宅の様子を仕事の合間に確認できる道具として提案する事も多い。wifi環境とスマホがあれば仕事中でも自宅の様子を確認する事ができる。

☆専門病院での診断と薬剤介入・・専門病院での診断や周辺症状への少量からの薬剤治療などで在宅での生活を維持できる事も期待できる。

 

まとめ

 上記に上げた工夫などはごく一部である。実際はその方に合わせ様々な工夫を行っていく必要がある。易怒性の強い方や帰宅困難、感情の抑制のつかない方、言語コミュニケーションの取れない方等多岐に渡って症状も出現しまた、その対応への工夫もさまざまである。地域包括ケアが叫ばれている現在、地域の目や対応も社会資源として活躍する時代である。様々な取り組み等も全国的にも展開されているが、地域の理解はまだまだであるのが実際、現場で働きかけをして思った感想である。多くの地域ではいまだに「早く施設に」「早く入院を」などの声が多いのが事実でもある。一番、苦戦するのは認知症の方やその家族ではなく健康な地域の方なのかもしれない。

 

*¹・・・前頭側頭型認知症は前頭側頭葉変性症として難病指定がされている

*²・・・「徘徊」ではなく「帰宅困難」と呼んでいる

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