2018年も始まりそろそろ、1ヶ月を過ぎようとしています。今回は、お正月によく言われる「笑う門には福きたる」と言う言葉になぞらえて
「笑う介護に福きたる」と題して書いてみました。
「笑う」これは人をいい気分にさせる、楽しい気分にさせる、幸せを感じる等々、精神的にもいい感情かと思います。人間には喜怒哀楽があります。認知症の方はよく「色んな事ができなくなる。」「忘れる。」と言われます。この喜怒哀楽の感情もそうでしょうか?実際は認知症の方も喜怒哀楽の感情は最後まで残ると言われています。ですから認知症の方も嫌な事をされると「怒ります」し楽しいと「喜びます」その理由やタイミングは様々ですが、感情を表現し訴えているのが認知症の方でもあります。
子どもは見た目にわかりやすい「動き」が笑えるものを好みますよね。例えば「志村けんのバカ殿」や最近では「にゃんこスター」の動き。見た目がわかりやすく笑いにも繋がります。認知症の方も見た目や動きにとらわれる事が多いです。例えば易刺激性と呼ばれる症状「飛行機の音」や「鮮明な色」等大きな音、インパクトのある色等耳や眼からの情報に刺激があればあるほど影響を受けやすいと言われます。
では、その喜怒哀楽の感情は脳のどこの部分で管理しているのでしょう?
脳「喜怒哀楽」司る器官として「扁桃体」と呼ばれる部分があります。ではこの「扁桃体」どのような働きをするのでしょう?
扁桃体の働き
扁桃体は側頭葉の内側、大脳辺縁系の下部に位置します。
その形は神経の集まりでアーモンドのような形をしています。扁桃体は人の情動を司り「快・不快」「喜怒哀楽」に影響します。また、人の記憶に関する器官「海馬」と隣合わせにあり密接に関係し記憶の紐づけをしています。扁桃体は情動・感情の処理(好き嫌い、快不快の判断)、直観力、恐怖記憶形成やストレスへの反応機構、特に不安や緊張、恐怖反応において重要な役割を担っています。海馬からの視覚や味覚などの記憶情報をまとめて、それが快か不快か(好き嫌い)を判断。何かの行動が快不快の感情を生んで、その情報を海馬へと送ります。海馬と扁桃体は常に情報が行き来し海馬傍回がその間として働いています。
扁桃体を上手く活用しましょう
このように人の記憶は扁桃体を通じて快・不快等の感情を紐づけ記憶として残す事も多くあります。
体験を通して心地いい記憶、恐怖の記憶、不安の記憶と言ったように記憶をする過程で感情を紐づけしているのです。例えば「幼い頃に犬に吠えられ、怖かった」体験が恐怖の体験として扁桃体を通じて記憶として残ると、大人になっても犬=怖いものとして記憶が残ると言った具合です。どうせ、扁桃体を通じて残る記憶なら、楽しい(快)記憶を残したいものです。介護者がいつも不機嫌そうな顔をしていたらどうでしょう?認知症の方には「いい印象」としては残らないでしょう。扁桃体を通じ「怖い人、不機嫌な人」として記憶に残るでしょう。逆にニコニコ笑顔で接してみたらどうでしょう?「楽しそうな人(快)あるいはいい人」として記憶に残る事でしょう。また、海馬が萎縮しても扁桃体は影響を受けないとも言われます。認知症の方の「喜怒哀楽」が最後まで残ると言われるのもその為です。
出来るだけいい印象を残してあげましょう
認知症の方は不安の中で生きているとも言われます。そこに「恐怖、不安」等が加わるとうつ症状や閉じこもり、猜疑心、被害妄想などに繋がるかもしれません。しかし、笑顔を持って接する事で認知症の方もいい印象を持つ事ができるでしょう。そうする事で認知症の方自信も楽しみや笑顔を味わえると思います。出来るだけ、楽しい体験、心地いい体験をして頂く事で認知症の方の感情も穏やかになるのでは?と思います。
ここにも笑顔の介護のヒントが→中村 学 氏「笑う門にはいい介護」https://warakado.wordpress.com/tag/%E8%AC%9B%E5%B8%AB/page/5/