今回は、介護と医療の連携に必要なFIMについてお話をしたいと思います。とは言っても僕自身、FIMを勉強し始めたばかりですので、あまり詳しい事も言えないのですが・・・。
平成28年の診療報酬改定である評価基準が選定されました。それは「一定水準以上の効果を評価する。」その評価基準がFIMです。以下の通りです。
(厚生労働省 平成28年度診療報酬改定より引用)
上記の基準で行くと回復期リハでのアウトカム評価の見直しの基準としてFIMが使われています。では「アウトカム評価」とは何でしょう。
算定要件はこちら →厚生労働省→政策について→分野別の政策一覧→健康・医療→医療保険 →第2 改定の概要(1、個別改定項目について)http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf 内ページ169
いわゆる、回復期病棟のリハビリテーションがどのように効果的に行われているか?の評価になります。回復期病棟を退棟するという事は当然、在宅復帰や施設への入所等も考えられると言う事ですよね。そうなると、退院時のリハビリ評価にも当然、FIMが使われるようになります。
実際、退院時の情報提供書やリハビリ評価などの書類にもFIMの項目を最近は必ず見かけるようになっています。医療の現場では(特にリハビリ現場)では当たり前のようにFIMは使われています。しかし、残念ながら介護の現場ではまだまだ、FIMがどのようなものか知らない人がたくさんいます。実際、僕もそうでした。今後、医療の現場では「廃用性症候群」でのリハビリ算定が新設されています。介護の現場でもよく耳にする廃用性症候群ですのでリハビリ項目がいかに介護現場でも大事かと言うのが分かります。
介護現場で今後FIMは必要?
平成30年には介護保険の改定もまじかに迫ってきています。その中で通所介護の個別機能訓練に議論が集まっています。個別機能訓練を行っている事業所でのしっかりとした効果が出ているのか?算定の要件を変更するべきでは?との声もあり次回の改定では個別機能訓練に関しては何らかの算定基準の変更があるものと思われます。
上記のように「基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき」とあります。では、どこで効果の指標を図るのでしょうか?そこに恐らくFIMが使われるのではないか?と思われます。「医療と介護の連携の推進」、「地域包括ケアシステムの構築」等医療と介護が同じ評価基準を持つ事で在宅や施設からの医療機関への入院→医療機関から在宅や施設への退院の際の身体機能の評価基準としてもFIMの活用が予想されます。
FIMとは?
ここではFIMが実際どのようなものなのかを見ていきましょう。
FIM(functional Independence Measure)機能的自立度評価表で1983年にアメリカのGrangerらによって開発されたADL評価法です。 特に介護負担度の評価が可能であり、様々なADL評価法の中でも信頼性と妥当性があり、リハビリの分野などで幅広く活用されています。具体的には、食事や移動などの“運動ADL”13 項目と“認知ADL”5 項 目から構成され、1 点が介護時間 1.6 分と設定されており、110 点で介護時間 0 分となります。 また、1 週間以内に FIM 得点が 10 以上低下するような状態を、”急性増悪” とみなせるとされています。
FIMの特徴
◎FIMは、身の回りの必要最低限なことを自分でしているのか、どのくらい介助に手がかかるのかを簡単に評価し、比較ができるように作られたものである。
◎評価の対象になる病気や障害は選ばない。ただし、7歳以上が対象となる。
◎医療従事者以外でも、評価することが可能である。 ◎認知・コミュニケーションに関する項目も評価する。
FIMの概念
◎どの疾患にも適応できる。
◎ 評価者もリハビリの専門職である必要はない。
◎実際に「している」状況を記録することで、介助量を測定できる。
◎日常生活動作(ADL)のすべての内容をチェックするためのものではなく、 生活を営んでいくために必要最小限の項目を把握するために用いられる。
◎ 対象の年齢は 7 歳以上で、それ未満の小児のためには Wee FIM という評価 基準がある。
FIMは評価項目に「運動項目」と「認知項目」に分かれておりそれぞれ評価していきます。
FIMの評価ポイント
◎FIMは自宅や病棟などで「しているADL]を評価するものである。
◎日や時間帯によって介助量が異なる場合は、最も介助量が多い上体を評価する。
◎各項目は7段階評価となっている。運動項目・認知項目で採点の基準が異なる。
実際の採点方法や内容はこちら↓
慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター http://www.keio-reha.com/ADL/fim_hayami_top.html
まとめ
このようにFIMはADL評価に加え認知面の評価も出来る為、他の評価方法よりも詳しく評価が出来る物でもあります。医療現場では当たり前のFIM。この機会に医療と介護の連携に、介護現場での評価基準として、質の高いサービスの提供にFIMを導入してみてはいかがでしょうか?今後、地域包括ケアの推進が進むにつれ、医療と介護の共通言語はさらに必要になってくると思われます。僕ももっと、詳しくFIMの勉強をしていきたいと思います。
(資料:慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターHPより引用)